コーヒーと見る世界の景色 – ミャンマー | See the world landscape with coffee – Myanmar

コーヒーと見る世界の景色 – ミャンマー | See the world landscape with coffee – Myanmar

「コーヒーと見る世界の景色」第一回目の国は「ミャンマー」です。現在ANYでは奈良市の餅飯殿商店街にある姉妹店 ANY COFFEE BREW BARの方でご提供させていただいています。

国名:ミャンマー連邦共和国 (旧名ビルマ)

英語表記:Republic of the Union of Myanmar
首都:ネピドー (Naypyidaw)
人口:5,441万人(2020年) 世界26位
GDP:約813億ドル
1人辺りGDP:約1,527ドル
政治体制:大統領制、共和制

ちなみに日本の1人あたりのGDPは約42,211ドルなのでミャンマーの27.5倍くらいです。
何かと話題にあがる”アウン・サン・スー・チー”さんは大統領ではなく、「国家最高顧問、外相」とい役職で日本でいうところの首相のポストにあたります。

しかし2021年去年の2月にあったクーデター以降にスー・チーさんは軟禁、そして先月には禁固刑が言い渡されてます。

それ以降、国家顧問は廃止されたり新しい役職ができたり、NUGがまた国家顧問をつくったり(NUGはNational Unity Government of Myanmarの略称で日本語では国民統一政府といいます。

クーデターで実権を掌握した国軍に対抗し、民主派が新たに結成した組織) まだまだ同じ地球上で混沌としている状況が続いています。

コーヒーの生産についてはどうなのか?

ミャンマーのコーヒー生産量は8,769トン(2019年)があるそうです。
世界第一位のブラジルは3,009,402トン。
ミャンマーのコーヒー生産は世界中のコーヒー生産の0.9%ほどの割合。

ミャンマーでは1930年にカトリックの宣教師がアラビカコーヒーをShan State 南部へ伝えたのが始まりだそうです。
コーヒー自体は(この場合ロブスタなどの品種の事だと推測します)1885年にイギリスの入植者からすでに伝えられているそう。

その後、Mandalay(マンダレー) Region と Shan(シャン) Stateが主なコーヒー生産地としてきましたが、近年ではKayin State (カレン)と Chin(チン) Stateでもコーヒーの生産がはじまっています。

面白いなと思ったのは地域によってファームの特徴が違うという事で、Mandalay Regionでは大きな土地でウォッシュドのコーヒーを生産する事が多いようで逆にShan Stateではスモールホルダー(Smallholders)と呼ばれる小規模農園達がコーヒー生産を行なっているそうです。

ちなみに、ANYでも取り扱っているYwarNganもShan Stateのコーヒーです。

ミャンマーのコーヒー収穫期は12月から3月頃だそうで、アメリカへの輸出でいうと6月から8月にフレッシュクロップが届くみたいです。

日本は同じアジアだからもう少し早いんですかね?それでも早くても収穫してから半年くらいの期間が消費国に届くまでかかるんですね!

民主主義と軍事政権の狭間から見える人と国家の在り方

デモクラシー(民主主義)がこの世の中にとって完璧であるかどうかは、今だ人類の歴史をたどるとそうとは言えない部分もたくさんあると思います。

ですが、一度、民主的な国になり多くの市民達がそれを望んでいたのに軍事力で強制的にまた独裁政治に戻るというのはあまりにも唐突すぎます。
市民が声を上げているのに弾圧される世の中はかつて起こった過去の歴史と重なります。

権力者が優位に立ち、権力のない者は成す術がない世界は今の日本で暮らしていると感じにくいですがあきらかに同じ地球で起きている出来事です。

前述したコーヒーの生産地Kayin State (カレン)でも軍による空爆があり、市民弾圧が行われていてKayin State (カレン)では住民約7千人が家を追われ、4千人以上が国境をまたぎ隣国のタイへ逃げているそうです。

まさにカオスです。
私たちが平和なクリスマスやお正月を過ごしている間に、「命」の危険にさらされている人々が同じ地球上にいます。

国家とはそこに暮らす人にとってどんな存在であるべきなのでしょう。
民主的でなくても独裁的なほうが上手くいく事も世の中あるかもしれませんが「人」が国を作っています。世界はその人とその他の動物や植物、いわゆるあらゆる種(スピーシーズ)が共生して存在しています。

全ての種が幸せに、尊重し合える世界を私たちは創れるのでしょうか。
少なくても、私は今のミャンマーのような情勢と在り方では全ての種が幸せにはなれないと思います。

SDGsは気候変動や貧困だけではないということ

最近はすでに流行り言葉のように感じる「SDGs」ですが。
どうしてもフューチャーされがちなのは、温暖化を含む気候変動のこととか、児童労働、強制労働などを含む貧困層への問題意識です。

もちろんそれらも大事なファクターのひとつですが、SDGsの本質を思い返した時に気づくのは「一人残さず・・・」という合言葉。

紛争、戦争、弾圧などで幸せに暮らせない人々もいる。それらを無くしみんな幸せに暮らせる世界を創っていこうというのがSDGsです。

ミャンマーのコーヒーを飲んで美味しいのはもちろんですが、そんな美味しいコーヒーが誰の手によってどんな状況下で作られているのかを考えるのは私たち「消費者」にとっても大切な事です。

コーヒーは作物なので作っている人がいます。その作っている人達も幸せである方がコーヒーとしては美味しいですよね。

「美味しさの価値観」を私たちもアップデートして、これからの世界をどんな風にして未来に紡いでいけるかを考えていけたら素敵ですよね。

2022年は希望を持てる世界をローカルから意識していけるように

何はともあれ「希望」をもっていきられる世界をコーヒーを飲みながら、そこにある背景に想いを馳せ、明るい未来を前向きに考えられたらいいなと思っています。
 

地域の限られた範囲からでも世界を良くしたりする事は出来ると信じています。
何故なら私たちが消費しているあらゆるモノは決して地域だけで完結するものでなく、他の日本の地域や世界とつながっているからです。

それをどう選び、何を学び、どんなアクションを起こすのか。
そして誰もが「どうせ自分一人が・・・」ではなく「せめて自分だけでも・・・」と思えるような希望に溢れた2022年にしていきたいです。

そのために皆さんの協力もお願いする事もあるかもしれません。
私たちだけではできる事は限られていますがたくさんの小さな”想い”が集まればきっと素敵な事が起きます。

そう、まるでドラゴンボールの「元気玉」のように。 今年はみんなで「元気玉」を創りましょう!


参考記事など:

https://www.coffee.org.mm/index.php/en/myanmar-coffee-history

https://www.atlascoffee.com/coffee/myanmar/

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB253TX0V21C21A2000000/


あとがき

2022年の連載企画として1月のANYニュースレターに載せていた「コーヒーと見る世界の景色」のミャンマー編を加筆、一部修正して掲載しました。
改めて2022年という年は「混沌」が顕在化した年だったと感じます。このミャンマーのケースから見える「デモクラシー」を巡る論争や状況も、カオスの始まりの一部だったのだと思います。

現在2023年1月時点ではアウンサンスーチー氏の刑期は懲役と禁錮を合わせて33年になったそうです。
この時点で77歳なのでほぼ終身刑と同等です。

こういった話は風化しやすく、日本国に住む私たちにとっては関係性が希薄な気がするので、あまり普段から話題にのぼりにくいです。しかしミャンマーのコーヒーを飲んでいる時に、ふと思い出して「民主主義」のあり方や今の私たちの生活のあり方を問い直す機会になったらいいなと思います。

本編中にも書いてますが、「希望」を持てる世界を一人一人が願ったり、叶えたりしながら世界全体がもっと前向きになれたらいいですね。

前向きな事を考えたい時は是非、ANYのコーヒーを嗜みながら思考を巡らせてください。

Yutaro

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